暮らしに活かすアーユルヴェーダ -ジッセン編-

『アーユルヴェーダ的アロマテラピー辞典』使い方と効果、よく使われる精油を完全網羅!

アーユルヴェーダとアロマの関係って?

アロマテラピーとは、1929年にフランスのガットフォセが名づけた植物の香りを使って心身のバランスを図る療法のことで、アロマは芳香、テラピーは療法を意味します。植物から抽出した精油を部屋に香らせたり、植物油で希釈しマッサージに使用するなどその使い道は多岐にわたっています。
アーユルヴェーダでは、長きにわたって植物を飲み薬やマッサージなどに使用してきました。しかし植物から抽出した精油より、植物そのものをオイルに付け込み植物の成分を引き出すなど、アロマテラピーのような方法とは異なる使い方をしてきました。
ところが近年になり、ヨーロッパやアメリカなどから、アーユルヴェーダとアロマテラピーの融合を図る動きが出てきています。体質や体調をバランスする香りさらには一日の時間や季節などを考慮したアーユルヴェーダ独特な考え方をベースにしたブレンドなどが使用されています。

どんな効果が得られるの?

アーユルヴェーダでは、すべての食べ物や植物が「ドーシャ」と呼ばれる体内のエネルギーに作用すると考えます。そのため精油やオイルが体内のドーシャにどのように影響を与え、体や心にどのように作用するかを理解して使用することでアロマの効果をより個々人の状態に合わせたオーダーメイドの使用が可能になります。以下は精油の代表的な効果です。
  1. 鎮静効果:ヴァータやピッタの過剰をおさえ安定する効果
  2. 活性効果:カパの過剰をおさえ活動的にする効果
  3. 解毒効果:体や心からの排毒効果
  4. 体質や体調のバランス効果:ヴァータ・ピッタ・カパを調整する効果
今回は、そんなアロマの使い方と種類をご紹介します。

アーユルヴェーダでのアロマの使い方は?

アーユルヴェーダでは、精油を個人の体質や体調に合わせて選びます。そのため個人個人のオーダーメイドアロマが可能になります。また使用方法も、精油をマッサージや芳香として部屋に香らせるなど多様な場面で使うことができます。
  • 個々人の体質にあったアロマの使用ができる
  • 体調にあったアロマの使用ができる
  • 身体の状態・心のバランス・チャクラなどホリスティック(統合的な)使用ができる
  • 環境や一日のリズムに合わせたアロマの使用ができる

体質に合ったアロマの使用法

自分の体質を知り、その長所を伸ばし、短所をケアするアーユルヴェーダの特徴をアロマに活かし、アロマで体質バランスを図っていきましょう。
※体質チェックはこちら
わたしはどのタイプ?あなたの体質がわかる『心と体の30チェック』

ヴァータタイプとアロマの使用法

風のように軽く動き、自由なヴァータ。想像力に富み、理解が早く、順応性も高いのがよさです。ところが忙しすぎて、ストレスを受けると、気分的にも体力的にも不安定になりがちです。緊張感や恐怖、不安などの感情が増えていきます。また健康面でも腰痛、肩こり、冷え性、生理不順、便秘、不眠など神経系や循環器障害のトラブルも起こりがちです。そんなヴァータに最適なアロマは、ベチバー、ローズウッド、サンダルウッド、ユーカリ、ブラックペパー、サイプレス、ベンゾイン、ジンジャー、バジル、ローズマリー、フランキンセンス、ラベンダーなど。

ヴァータに適したアロマを選択する基準
  • 根や心材から取れた重厚な揮発速度が遅い香り…ベチバー、サンダルウッドなど
  • 甘く、酸味がある香り…オレンジ、ベルガモット、ネロリ、ローズなどフローラル系や柑橘系の香り
  • リラックス効果のある香り…ラベンダー、ベンゾインなど

ピッタタイプとアロマの使用法

燃えるような熱い野望で目標達成に向かう情熱的なピッタ。知性的で、機転が利き、無駄なく行動や話ができます。ところがピッタが過剰になると批判的になり、完璧主義で敵を作りやすく、イライラや嫉妬心が増えていきます。また健康面でも炎症などの皮膚のトラブル、目の充血、抜け毛、若白髪、不消化、下痢など、とくに消化器系のトラブルも起こりがちです。そんなピッタに最適なアロマは、マンダリン、ネロリ、ラベンダー、クラリセージ、ローマンカモミール、ティートリー、ローズ、ペパーミント、イランイラン、ジャスミン、レモングラスなど。

ピッタに最適なアロマを選ぶ基準
  • 茎や葉から抽出したやさしい揮発速度が中程度の香り…ペパーミント、ラベンダーなど
  • やや苦味があるグリーンノートのハーブ系のアロマ…メリッサ、クラリセージ、ティートリー
  • 冷却、鎮静効果のあるアロマ…カモミールローマンなど

カパタイプとアロマの使用法

落ち着いていて、人からの信頼感が高い辛抱強いカパ。物事にじっくり取り組み、落ち着いていて面倒見がよく穏やかな対応ができます。ところがカパが過剰になると執念深さや保守的になり頑固になってしまいます。また健康面でもアレルギー性鼻炎、気管支炎、だるさやむくみ、体重の増加など、特に呼吸器系のトラブルも起こりがちです。そんなカパに最適なアロマは、ユーカリ、ジュニパー、サイプレス、ローズマリー、グレープフルーツ、ジンジャー、マジョラムなど。

カパに最適なアロマを選ぶ基準
  • 葉や樹木から抽出された揮発速度が速い香り…ティートリー、ユーカリなど
  • 渋く苦くスパイシーな香り…ブラックペパーなどのスパイス系のアロマ
  • デトックス効果のあるアロマ…ジュニパーなど

アーユルヴェーダ体質別スキンケア

ヴァータの皮膚
ヴァータ性の皮膚は、乾燥、ひび割れ、しわ、皮膚が薄い、冷たい、粗いなど乾燥肌になりやすいのが特徴です。
カモミール、クラリセージ、ゼラニウム、ラベンダー、ローズウッド、サンダルウッド、ジャスミンなどがヴァータ性のスキンケアに適しています。

ピッタの皮膚
ピッタ性の皮膚は、繊細で炎症やニキビが起こりやすくなり火照りや赤く火照ることがあるのが特徴です。
ブルーカモミール、ゼラニウム、ラベンダー、ローズ、サンダルウッドなどが適しています。

カパの皮膚
カパ性の皮膚は、概して滑らかな普通肌か脂が浮きやすい場合があります。
パイン、ジュニパーベリー、オレンジ、サイプレスなどが向いてきます。
 

アーユルヴェーダとアロマで人間関係を良好に!

ヴァータから起こる不安感には、ネロリがおすすめです。
何となく不安を感じたり、頭で考えすぎて、空回りしているときはヴァータの過剰。緊張した神経を鎮め心のバランスを図るようにしましょう。ネロリの香りの中でヨーガの山のポーズを行い安定感に気づくようにしてみましょう。

ヴァータから引き起こされる緊張には、フランキンセンスがおすすめです。
初対面の人と会ったり、仕事の緊張などは呼吸を浅くし、身体にも緊張を余儀なくさせてしまいます。そんな時肩の力を抜いて呼吸を深く心の焦りを下してくれるのがフランキンセンスです。
緊張症の人は日頃「私はどのようなときも堂々と本来の自分を発揮できる」などの言葉とともに香りを吸うようにして、その香りを会議の場やいざという時にハンカチやティッシュにつけて持っていくと香りが日ごろのイメージを呼び覚まして効果がで出やすくなります。その場合は、フランキンセンスに関わらず、自分が落ち着くと感じるアロマを使用してみましょう。

ヴァータから起こる虚無感には、レモンがおすすめです。
がんばってもうまくいかない結果、そこはかとない孤立感ややるせなさを感じた時。心のあなをうめてくれる、そんなヴァータの心にぽっかり空いた穴を元気なレモンが埋めてくれます。息を吸うときにレモンの香りがぽっかり空いた心の穴に埋まっていってレモンのような黄色い元気な自分になるとイメージをしながら香りを心にいっぱい吸い込んでみましょう。

ピッタから起こるいかりの感情には、ローズオットーがおすすめです。
むかつきやイライラは火のエネルギーのピッタが過剰になっています。
吐く息を長くして上に上がった火の気を下に下げ下腹部に落とし込む簡単プラーナエクササイズをしてみましょう。やり方はとても簡単です。
両手を上にあげ、その後メラメラした気を両手を下げながら下していくをワンセットとして5回程度続けましょう。

ピッタから起こるパニックには、ローマンカモミールがおすすめです。
ショックなことや思いがけないことに遭遇すると胸の鼓動がパクパクしたり呼吸が乱れ心の状態も乱れてしまう。そのようなわきあがったエネルギーはピッタから起こるものです。鎮静効果の高いカモミールで、身体と呼吸と心はつながっているというイメージで、カモミールの香りをゆっくり吸い込んでいきましょう。

カパから起こる嫉妬には、ローズマリーがおすすめです。
やるべきことができていないとき、人がうらやましく思う時が、なんで彼女ばっかりが認められるの・・・などの感情が自分の心の中にいっぱいになってしまったような時、自分の中に意識を向けて集中し、頭脳を明晰にさせ、本来の自分を取り戻してくれる香りがローズマリーです。重い心を軽快にして元気を取り戻しましょう。またそのような感情を笑い飛ばすことも効果的です。

カパから起こる頑固さには、ユーカリがおすすめです。
ユーカリのシャープな香りは、滞りのあるエネルギーを循環させ、岩のように頑固になった心を活性するお手伝いをしてくれる。ユーカリで心の中にしまっていた思いをスムーズに言葉にして和らげて行きましょう。 

カパから起こる傷ついた心には、ジュニパーがおすすめです。
傷ついた心の垢を払い除くお手伝いをしてくれます。カパの傷心で自信のなさを前に向かわせ、マイナスな気を流す力を与えてくれます。

心の気分転換のレスキュー隊としてのアロマの使用法

①イライラした気分のレスキュー
携帯用のフレグランス
用意するもの・携帯用香水瓶、無水エタノール、ローズオットーの精油
瓶に無水エタノールを5ml入れる。ローズを10滴いれ出来上がり。
手首の内側にすっと1吹き。

②環境レスキュー(エアフレッシュナー)
気分転換レスキュー
スプレーボトル、精製水、無水エタノール、レモンの精油
スプレーボトルに無水エタノール3ml程度入れる
そこにレモンの精油10滴入れよくかき混ぜる
精製水を50ml入れてよく振って出来上がり。
自分自身を取り囲む環境エネルギーの変換を図ること魔法の薬と名づけ自分の回りを囲むようにシュッシュとスプレーしましょう。

アロマを使用する時の基本を知りましょう

アロマは高濃度なため、薄めて使用することが基本です。
精油一滴は約0.05ml
5mlの水に対して1滴入れると1%濃度
100mlのベースオイルに対して1%濃度のものを作ると
100ml÷5ml=20滴
答えは20滴のアロマが必要となります。

フレグランスやスプレーは作ったものはどのくらい持つものでしょうか?
  1. アルコール(エタノール)の濃度が高いと品質の保持時間が長くなります
  2. フレグランスは:エタノール濃度95パーセント。そのため半年間は大丈夫
  3. スプレー:エタノール濃度が3~10パーセント。
一か月以内で使い切りましょう。

手軽に入手できるアーユルヴェーダアロマ17選

ラベンダー
ラベンダーには167種の薬効があるとされています。含まれている化学的な性質がバラヌしているため、ほとんどのアンバランスに有効に作用します。またアーユルヴェーダでも
冷却効果がピッタをバランスし、呼吸のトラブルにも使われカパの過剰を減らし、不眠にも効果が認められているため、ヴァータの過剰にも有効です。洗い流すという意味のラバーレという語源を持つため浄化にも使用されるという大変使い勝手の良いアロマです。しかもほとんどのアロマとも大変相性が良くブレンドするにも最適です。
学術名 Lavendula officinalis
ドーシャへの影響 PK-、V0(ピッタとカパを減らす。ヴァータは増やしも減らしもしない)
辛味
エネルギー 弱冷却、中性
作用 駆風、利尿、抗けいれん、消毒、催乳、調整
効能 火傷、ケガ、虫刺され、皮膚炎、ストレス、不眠、乾燥肌、浮腫、抜け毛、吹き出物、いらつき、水虫、腰痛、風邪、神経炎など
使用法 芳香浴、入浴、マッサージオイル、スプレーなどすべて可
香の特徴 豊かな甘い草、花の香り、基調にハーブの木の香り
相性の良い精油 すべてと相性が良い
注意 ヨウ素や鉄分の入っているものと混ぜない
ペパーミント
ペパーミントはガムや歯磨きにも使用されるくらいその香りは、広く知れ渡っています。
刺激を促し活力を与える効果でカパを鼓舞させる効果を持っています。またペパーミントの主なる成分のメントールが、かっかと燃える消化器系を冷ましピッタの過剰に向いています。頭痛や咳などにもその効果を発揮します。広く一般的に知られているアロマの1つです。
学術名 Mentha piperia
ドーシャへの影響 PK-、V0(ピッタとカパを減らす。ヴァータは増やしも減らしもしない)
辛味
エネルギー 冷却、保湿性
作用 発汗の調整、駆風、鎮静、刺激性、鎮痛、閉塞をとる、消毒
効能 風邪、発熱、のどの痛み、咽頭炎、消化器系のトラブル、不安、頭痛、月経困難症、喘息、耳の痛み
使用法 シップ、入浴、マッサージオイル、口の洗浄、芳香浴
香の特徴 フレッシュ、強い、ミントの草の匂い、基調はバームの甘さ、クリーンな匂い
相性の良い精油 クラリセージ、ユーカリ、ラベンダー、ローズマリー、柑橘系
注意 悪寒がするとき、神経衰弱の場合悪化することも
ローズオットー
ローズの精油は水蒸気蒸留のものをローズオットーと呼びます。またローズアブソリュートと呼ばれるものは溶剤に付け込みアロマを抽出するため香水などには香りが強く向きますが、マッサージなどへの使用は、ローズオットーと呼ばれる水蒸気蒸留のものが勧められます。ただし抽出が難しくほんのわずかな精油しか抽出できません。そのためローズオットーは精油の中でも大変高価です。
学術名 Rose damascene
ドーシャへの影響 VPK=(すべてのドーシャに向く)
苦味、辛味、収斂、甘味
エネルギー 冷却、保湿性
作用 血液浄化、月経促進、解熱、鎮静、下剤、細胞の再生、収斂性
効能 無月経、月経困難症、目の炎症、鬱、頭痛、皮膚の老化、にきび
使用法 香水、シップ、入浴、吸入、マッサージ、芳香浴
香の特徴 温かく濃厚なフローラルな香り、ほんのりスパイシー
相性の良い精油 サンダルウッド、ジャスミン、ネロリ、ラベンダー、ベルガモット、クラリセージ、パチュリ、ローズウッド
注意 カパが増大しているときは使用を控える
フランキンセンス(乳香、オリバナム)
古代から受け継がれてきた香りの1つ。聖書では、神の子イエスの誕生に際して、賢者からの贈り物として登場します。また古代エジプトではファラオの遺体の保存剤として重要な意味を持っていました。皮膚細胞を調えるため現在では化粧品の成分として使用されることが多くなりました。精神の安定にもその効果が認められています。またインドではチャクラと呼ばれるエネルギーシステムの眉間の第三の眼に作用し、直観力を促し、真実を捉える力と透視力が増すとされています。アーユルヴェーダの説く老化防止いわゆるラサ―ヤナに最適な精油です。
学術名 Boswelia thurifera
ドーシャへの影響 KV-、P+(カパとヴァータを減らす。ピッタを増やす)
苦味、辛味、渋味、甘味
エネルギー 熱、乾燥性
作用 血液浄化、鎮静、若返り、抗炎症、滅菌、消毒、収斂
効能 傷、気管支炎、風邪、鼻炎、しわ
使用法 入浴、ローション、塗り薬
香の特徴 フレッシュテルペン、緑の香り、レモンのよう、熟していない青りんご、胡椒の匂い、豊かな甘味
相性の良い精油 ミルラ、ローズ、サンダルウッド、柑橘類、シナモン、ネロリ、ベチバー
注意 常に薄めて使用すること
イランイラン
イランイランは水蒸気蒸留のものでも等級が様々なものが多くあります。合成のものですら多く出回っている精油です。また香りはかなり強いのでかなり薄める必要があります。
温かさ、自信、女性らしさ、敏感さをもたらし、女性の免疫系のバランスを図り、緊張と筋肉けいれん、否定的な感情を減らすとされる精油です。
学術名 Canaga odorate
ドーシャへの影響 PV-、K+(ピッタとヴァータを減らす。カパを増やす)
甘味
エネルギー 冷却、保湿
作用 鎮静、全身の強壮、消毒、催淫、バランス調整
効能 高血圧、頻脈、神経系頭痛、油性肌、皮膚の老化、自信喪失、不感症、インポテンツ、冷え性
使用法 香水、入浴、マッサージオイル、芳香浴、ローション
香の特徴 強力強烈、フローラルウッディの基調、バルサミックな花の匂い
相性の良い精油 ローズウッド、ベチバー、ベルガモット、シダーウッド
注意 多量では吐き気を引き起こすことも。
ユーカリ
ユーカリもアロマではよく使われるものの1つです。700種以上の種類があり、中には150メートルにも及ぶほど大きな木もあります。成分のユーカリプトールは粘液を溶かし粘液の流れを良くします。それが呼吸器系のアンバランスに使用される理由でもあります。
免疫力を高め、喘息などにも効果が認められています。そのためアーユルヴェーダでは呼吸器のトラブルを起こしやすいカパにとって味方となる精油の1つです。
マッサージオイルとして使用するとセルライトの除去などにも有効です。
学術名 Eucalyptus globulus
ドーシャへの影響 KV-、P+(カパとヴァータを減らす。ピッタを増やす)
辛味
エネルギー 熱、湿性
作用 発汗性、閉塞をとる、刺激性、消毒、抗けいれん、血液浄化、去痰、解熱、組織細胞の再生、血糖低下、空気の清浄、集中力を高める
効能 喘息、気管支炎、咳、鼻腔、神経炎、筋肉痛、虫刺され、皮膚のただれ、ふけ、にきび
使用法 芳香浴、マッサージオイル、シップ
香の特徴 カンファーのような香り、レモンのような香り
相性の良い精油 ローズマリー、ジュニパー、ラベンダー、ミント、シダーウッド、ゼラニウム、ティートリー
注意 内服を勧める場合があるが、内服は勧められません
オレンジスイート
オレンジは皮を圧搾して精油を抽出する圧搾法がとられます。オレンジは生産量も多いため価格的にも手に入れやすい精油です。また香りはだれもが受け入れやすい柑橘系の香りです。乾燥肌にも有効で、閉ざした心を開くのにも素晴らしい効果がると知られています。
悲しみ、不安、心配性、またリラックス効果を与える時も、逆にエネルギッシュに作用することもあります。近年ではラベンダーとのブレンドが眠りに誘うのに有効であるという結果が出ています。
学術名 Citrus aurantium
ドーシャへの影響 KV-、P+(カパとヴァータを減らす。ピッタを増やす)
辛味、苦味
エネルギー 熱性
作用 駆風、去痰、刺激性、抗炎症
効能 消化力の低下、皮膚の炎症、乾燥肌、皮膚の老化、不安神経症、悲しみ、自意識過剰
使用法 入浴、芳香浴
香の特徴 スイート、軽くリフレッシュ、甘いオレンジの皮をむいた時のようなフレッシュな香り
相性の良い精油 イランイラン、サンダルウッド、ジュニパー、サイプレス、ラベンダー、ローズマリー、クラリセージ、フランキンセンス
注意 光感作性があるため、太陽にあたると敏感肌の方は荒れることも
ローズマリー
ローズマリーも家庭の救急箱に入れるホームレメディとして大切にしてほしい精油の1つです。ローズマリーは頭をすっきりさせ集中力を上げたり勉強の際にもとても役立ちます。
髪と頭皮の循環を促し、抜け毛予防や白髪の増えることを抑えるとも言われています。オレンジの精油と一緒に使うことで、細胞や組織の炎症の治療に勧められます。頭痛緊張の緩和、呼吸器系や鼻腔を通す作用なども期待ができる精油です。アーユルヴェーダから見たローズマリーは、若返り効果としてのラサ―ヤナ効果があります。また熱の性質が高いためピッタが過剰の場合は使用は控えめがよいでしょう。
学術名 Rosemarinus officinalis
ドーシャへの影響 KV-、P+(カパとヴァータを減らす。ピッタを増やす)
辛味、苦味
エネルギー 熱性、乾燥性
作用 発汗、駆風、刺激性、月経促進、消毒、抗けいれん、胆汁分泌促進、神経系の強壮、抗うつ
効能 火傷、ケガ、虫刺され、皮膚炎、ストレス、不眠、乾燥肌、浮腫、抜け毛、吹き出物、いらつき、水虫、腰痛、風邪、神経炎など
使用法 吸入、シップ、マッサージオイル、シャンプー、芳香浴
香の特徴 強い、フレッシュ、木と葉の香り、クリーン、心地よい甘苦さ
相性の良い精油 ラベンダー、タイム、パイン、シダーウッド、ユーカリ、シナモン、フランキンセンス
注意 妊婦、てんかんの人は使用を控える
サンダルウッド
日本では白檀の名で知られお香の原料として古から使用されています。心を深く鎮める効果があり、インドでもヨガの道場など瞑想の時の薫香としても使用されています。西洋の人が初めてハワイに来た頃、山はサンダルウッドで覆われ、その香りは、約30Kmも離れたところまで香っていたといわれています。サンダルウッドは脳下垂体と松果体を刺激し内分泌腺を調整する働きがあるとされます。また男性ホルモン、アンドロゲンに似た成分があり、子宮の調整役とも言われます。
学術名 Santalum album
ドーシャへの影響 PV-、K0(ピッタとヴァータを減らす。カパは増やしも減らしもしない)
苦味、甘味、収斂
エネルギー 冷却、保湿性
作用 血液浄化、止血、解熱、神経を鎮める、消毒、殺菌、駆風、抗けいれん、利尿、組織の再生、催淫、去痰
効能 膀胱炎、尿道炎、膣炎、急性皮膚炎、帯状疱疹、動悸、日射病、にきび、不安神経症、神経質、不眠、前立腺炎
使用法 マッサージオイル、入浴、芳香浴、香水、シップ
香の特徴 ソフト、スイートウッディ
相性の良い精油 ローズ、イランイラン、ローズウッド、ゼラニウム、フランキンセンス、ミルラ、べチバー
注意 カパが強い時や肺に強いうっ滞がある時は使用不可
ローズウッド
南米のアマゾン川流域の熱帯地域に生育するクスノキ科の常緑樹で、香りがバラに似ているため古くから化粧品などの原料として使用されてきました。成長が遅く増殖が容易ではなくさらに野生林の伐採ため、一時は絶滅の危機に立たされました。
乾燥肌や髪にはうってつけでさらには、心配や不安、恐怖の感情を取り除くまさにヴァータにうってつけのアロマです。
学術名 Aniba Roseodora
ドーシャへの影響 KV-、P+(カパとヴァータを減らす。ピッタを増やす)
甘味、辛味
エネルギー 保湿、保温
作用 消毒、細胞の再生、強壮、血液浄化、リラックス
効能 疲労、神経質、ストレス、乾燥肌、皮膚の老化、頭痛、むかつき、心配、悲しみ、感染症、にきび
使用法 香水、マッサージオイル、入浴、シャンプー、芳香浴
香の特徴 爽快、スイートウッディ、胡椒のようなにおい
相性の良い精油 ゼラニウム、サンダルウッド、ベチバー、ネロリ
注意 特になし
ベルガモット
ベルガモットの名はイタリアの小さな都市名が由来です。フローラルな柑橘系で万人に受ける香の1つです。紅茶のアールグレーの香りづけに使われ、オーデコロンの材料にも使われます。肌の荒れや解熱の役割を持ちます。鬱の状態にベルガモットの香りが肝臓のうっ滞をとり、日々の生活を楽しむ力を取り戻すといわれています。ベルガモットに含まれるベルガプテンは太陽にあたると感作を起こしやすい成分です。そのためベルガモットをマッサージオイルなどに使用した場合は、数時間は太陽に当たらないような注意が必要です。
学術名 Citrus Bergamia
ドーシャへの影響 VK-、P+(ヴァータとカパを減らす。ピッタを増やす)
甘味、酸味、渋味
エネルギー 熱、乾燥
作用 殺菌、解熱、抗うつ、収斂、食欲増進作用
効能 膀胱炎、発熱、にきび、湿疹,乾癬、歯肉炎
使用法 シップ、マッサージオイル、入浴、芳香浴、ティー
香の特徴 スイートフルーティ
相性の良い精油 サイプレス、ジャスミン、ジュニパー、ラベンダー、ネロリ、レモングラス、柑橘類すべて
注意 肌に直接つけない、光感作
ジュニパーベリー
ジュニパーは、ヒノキ科の常緑樹で、松ぼっくりに似た果実をつける薬草です。人間が最初に使った植物の1つで先史の遺跡でも発見されています。魔除けの力をもつ木として、祈りや癒しのための薫香としても使われてきています。酒のジンの香りづけにも使用されています。体を温め、体液の循環に効果的とされ、ヴァータやカパの関節リュウマチや、月経を促す作用や膀胱炎などにも使われます。
学術名 Juniperus communis
ドーシャへの影響 KV-、P+(カパとヴァータを減らす。ピッタを増やす)
辛味、苦味、甘味
エネルギー 保温
作用 利尿、発汗性、駆風、鎮痛、刺激性、消毒、収斂性、殺菌
効能 水腫、浮腫、坐骨神経痛、腰痛、関節炎、リウマチ、関節の腫れ、糖尿病、消化力の減退、免疫力減退、月経困難症
使用法 入浴、芳香浴、マッサージオイルなど
香の特徴 フレッシュ、温かく豊かなバルサミック、スイートウッディ
相性の良い精油 すべての柑橘系、サイプレス、ユーカリ、クラリセージ、ラベンダー、ベンゾイン
注意 急性腎炎と妊娠中は使用は不可
ゼラニウム
繁殖力が強く育てやすく、また色が美しいため様々な国で窓辺に飾る風習があります。
虫よけの効果もあるとさます。ゼラニウムの香りは、ミントのような爽快感とローズのような甘さのある香りが特徴です。植物性エストロゲンを含むため更年期には貴重な精油です。
また美しい肌を保つスキンケアとしても使用され、湿疹のできやすい乾燥肌には有効です。
学術名 Pelargonium ordoranissium
ドーシャへの影響 PK-、V0(ピッタとカパを減らす。ヴァータは増やしも減らしもしない)
甘味、収斂
エネルギー 冷却、湿性
作用 抗うつ、神経の鎮静、催淫、更年期のホルモン調整、消毒、抗炎症、虫よけ
効能 傷、更年期障害、湿疹、帯状疱疹、顔面神経痛、皮膚炎、にきび、月経困難症
使用法 入浴、マッサージオイル、入浴、香水など
香の特徴 強烈な土と葉のにおい、少しきついバラのような
相性の良い精油 ローズ、クラリセージ、ローズウッド、サンダルウッド、ラベンダー、ベルガモット、パチュリ
注意 特になし
ティートリー
ティートリーは、湖沼などに育つ常緑樹。生命力の強い木で、切り落としても数年でまた伐採できるほど成長します。この名は、キャプテン・クックがオーストラリアを訪れた時、先住民アボリジニが、この葉をお茶にしていたことが由来しています。彼らは、風邪やせき、頭痛、傷や感染症の万能薬として使っていました。現在はカンジダ症への研究が進んでいます。また花粉症の症状の緩和として使用されたり。消臭効果も期待できるところからルームフレッシュナーとして適しています。
学術名 Melaleaca altemifolia
ドーシャへの影響 VPK=(すべてのドーシャに向く)
苦味、辛味、甘味
エネルギー 冷却、保湿性
作用 殺菌、外傷治療、消毒、去痰、刺激、抗ウイルス、殺菌、解熱
効能 膿傷、にきび、ヘルペス、掻きむしり、水虫、真菌、たむし、虫刺され、カンジダ症
使用法 軟膏、吸入、芳香浴、入浴
香の特徴 ウオームスパイシー、テルペンの匂い
相性の良い精油 ラベンダー、ローズマリー、ゼラニウム、ユーカリ、カモミール
注意 特になし(まれに長期使用による感作性あり)
クラリセージ
クラリセージは、女性ホルモンと似た働きをします。月経を調整したりほてりをやわらげたり、不安感やブルーな気分を解消するなど女性特有の症状を和らげます。またお腹の張りや生理痛など、まさに女性への贈り物と言えるアロマです。また内分泌系を活性し、脳下垂体を調えるなど有意義な効果が期待できます。
学術名 Salvia Clarysage
ドーシャへの影響 VPK-(ヴァータ、ピッタ、カパすべてをバランスする)
辛味
エネルギー 保湿、中性
作用 消化を促進、健胃作用、鎮静、抗けいれん、催淫、デオドラント効果、殺菌
効能 けいれん、消化力低下、ガスのたまり、気管支炎、喘息、出産、頭痛、精神的緊張、いらつき、恐怖感、不感症、浮腫
使用法 入浴、芳香浴、マッサージオイルなど
香の特徴 甘く、草の香り、ソフトで甘苦い
相性の良い精油 ゼラニウム、ラベンダー、ベチバー、ベルガモット、フランキンセンス、ローズウッド、シダーウッド、柑橘系
注意 妊娠中の使用不可
ベチバー
ベチバーは熱帯地域に育つ草丈2mの多年草。現在は世界各地で栽培されています。広く根を張る植物で根から精油をとります。心が散乱して決断できないような時、混乱を取り除き何を選ぶべきかが急にはっきりしてきます。老化や荒れた肌に有効で女性らしさを引き出す、とされています。精神を大地につなげ目的意識をしっかり持たせ、自分を取り戻す力をサポートする精油です。
学術名 Vetiveria zizanoides
ドーシャへの影響 V-、KP+(ヴァータを減らす。カパとピッタを増やす)
甘味、苦味
エネルギー 保湿、心落ち着ける
作用 消毒、調整、リラックス、女性ホルモンのバランス、落ちつかせる、若返り、強壮
効能 皮膚、神経、生殖器、関節
使用法 入浴、マッサージオイル、塗り薬、香水など
香の特徴 甘い、ずっしりした木や大地の香り
相性の良い精油 ローズウッド、サンダルウッド、ゼラニウム、イランイラン、ローズ、クラリセージ、ラベンダー
注意 匂いが強いので使用量に注意
ジャタマンシ(インドナルデ)
甘松(かんしょう)とも呼ばれ、古代から大変貴重な精油とされてきました。
新約聖書によると、マグダリアのマリアはこのジャタマンシをわずかな量キリストのために手に入れるのに1年分の収入を支払ったとされるほど高価で貴重でした。最後の晩餐で、彼女はこれでキリストの足をマッサージし、さらに頭にも塗りました。神経系を鎮め、バランスの良い心をコントロールするのを助けるとされます。地に足をつかせ自分の人生に責任をもつという力を与えるとされます。 
学術名 Araka rasemosa
ドーシャへの影響 KV-、P+(カパとヴァータを減らす。ピッタを増やす)
甘味、辛味
エネルギー 保湿、保温
作用 更年期、生殖器、内分泌、消化に作用
効能 火傷、ケガ、虫刺され、皮膚炎、ストレス、不眠、乾燥肌、浮腫、抜け毛、吹き出物、いらつき、水虫、腰痛、風邪、神経炎など
使用法 スキンケア、入浴、シップ、マッサージオイルなど
香の特徴 重い、スイート、ウッディ
相性の良い精油 クラリセージ、ゼラニウム、ラベンダー、ベチバー、ジンジャー、パイン
注意 使いすぎると頭を鈍らせる

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『アーユルヴェーダアロマテラピー』マイナビ出版

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