暮らしに活かすアーユルヴェーダ -ジッセン編-
つらい生理・月経を乗り越えるアーユルヴェーダの過ごし方
月経は、月に1回の「浄化期間」です
つらい生理痛、頭痛やめまい、食欲不振、ひどいときには立っているのもままならない……など、あげれば切りがありません。毎月、生理がやってくると思うと、憂鬱な気持ちに襲われる方も多いのではないでしょうか。
ですが、アーユルヴェーダでは、生理は「体内を浄化するための自然現象」であると考えます。一ヶ月に一度、体内に蓄積した毒素を洗い流して、身体のメカニズムをととのえるのが生理の役割。きちんと浄化を完了させられるように、生理中には正しい過ごし方を心がけることが大切なのです。
生理とは、妊娠にいたらずに不要となった子宮の内膜が一気にはがされ、子宮の外へ排出される減少なのです。それは浄化であり、身体への負担も多くなります。
また、生理期間中は、ヴァータが増大し、風や空のエネルギーが強まっていく時期。ヴァータをおさえることを意識しながら、以下の過ごし方を守って、身体を翌月に向けて準備させてあげましょう。
ゆったりと体をいたわろう。生理中の8つの過ごし方
1.十分な休息をとる
刺激物や刺激的なことを避けて、心もおだやかな状態で過ごすように心がけてみてください。心配ごとも生理中はお休みしましょう。頭を使いすぎたり、考えすぎもいつも以上に負担になります。
2.昼寝を控える
生理中は集中力が落ちてしまい、常に眠気に襲われるもの。ですが、昼寝は体内の血液循環を落としてしまうため、できるだけ我慢しましょう。特に食後の昼寝は、身体の管「スロータス」を詰まらせてしまい、毒素がたまった状態を促してしまいます。それでもどうしても日中に眠く、つい昼寝をしたい場合は、ベッドや床に横たわらないでソファーなどに軽く寄りかかり、休息するようにしてみましょう。
3.運動を控える
ただし、15~30分の軽い運動(散歩)であればおすすめです。安定した適度な運動は、ヴァータを鎮めてくれます。
長時間のジョギングや腹部に力をいれるような運動も避けるようにしましょう。また、水泳も体を冷やし、雑菌に抵抗力がない時なので、避けたほうが良いでしょう。
4.初日は洗髪を控える
初日はシャンプーを控えましょう。頭部に触れることでエネルギーの乱れが起こると考えられています。また、入浴は経血を増やすため、2~3日目までは浴槽に浸からず、シャワーがおすすめです。
5.ヴァータを鎮静させる食事を
6.過剰な5感への刺激を避ける
また、音量を高くした音楽、香りがきつい香水、刺激的なマッサージ、赤などの刺激的な色や柄の洋服を着ることもできれば控え、よりマイルドなことを選択しましょう。
7.意識を内側へ向ける
浄化することに集中しましょう。自分の身体と心に注意を向けて、ヨガのポーズや瞑想法、呼吸法を実践するのもおすすめです(なお、ヨガのポーズは逆転系のものや、腹筋を使うようなポーズは控えましょう)。特におすすめなのは、瞑想の時間をとってみること。8.頭部マッサージを控える
生理期間中は肌が非常に敏感です。頭皮をはじめ、皮膚が赤く爛れたり、毛穴の赤いブツブツができやすくなったりして、肌の状態が悪くなってしまいますので、ブラッシングをはじめ頭皮への刺激にも気をつかっていきましょう。昔の美容師さんは、生理中の方にはパーマも毛染めもしない場合が多かったともいわれています。ワンポイントアドバイス 布ナプキンの使用がおすすめです
生理中はスムーズに浄化をうながすことが重要なため、タンポンではなく、ナプキンの使用をおすすめします。市販の使い捨てナプキンですと、肌荒れを起こしてしまう場合もみられるので、オーガニックコットンを使用した布ナプキンを使用しましょう。より快適に生理期間を過ごせます。
豆知識 アーユルヴェーダは女性の健康を大切にします
女性の健康に対する、アーユルヴェーダ独自の理論
最後に、アーユルヴェーダが大切にしている、女性の健康管理について紹介します。アーユルヴェーダの診療科にあたる産科学や強精法科には、女性の健康管理にまつわる理論があります。たとえば、生理中や妊娠中の注意点、性行為に対する考え方などで、いまもこの教えが受け継がれています。
1.生理中の女性は不浄?生理に対する教え
教えの中では、生理中の女性は「不浄」とされています。社会活動を制限されていたり、産後に炊事することを禁止する記述もみられます。こういった考えは「女性蔑視にあたる」という意見もありますが、一方では「女性を大切にするインドの伝統的な考え方」という解釈もでき、さまざまな視点から議論が交わされています。
2.本質は受け継がれる?出産に対する教え
出産についての教えも書かれています。情緒の安定した子どもを産むための教えです。たとえばアーユルヴェーダでは、受精時の両親の状態が、子どもの本質に影響すると考えられています。そのため、喫煙者の親からはヴァータタイプのそわそわした子どもが生まれやすかったり、お酒をよく飲むピッタが過剰な親からは、怒りっぽい子どもが生まれやすいといわれています。生理期間中のストレスや性的刺激を避けることも、子どもを産むうえで重要とされています。