暮らしに活かすアーユルヴェーダ -ジッセン編-
アーユルヴェーダが教える更年期の過ごし方
歳を重ねていくと、いずれは迎える更年期。心と体がもっとも変化するこの時期は、さまざまな不調が起こりやすい。 ほてり、不眠、頭痛、うつといった更年期障害は通常、閉経前後の45~55歳頃に起こりやすいですが、最近では20~30代で更年期のような症状が起こる若年性更年期障害も増えています。
アーユルヴェーダの考えから見ると、常に時間に追われているようなストレスの多い生活が更年期の不調に大きく関係しています。
次から次へと物事が移り変わるスピーディーな時代は風のエネルギーであるヴァータが増えやすい社会です。ヴァータが増えると病気が起こりやすくなり、年齢にかかわらず、更年期障害も起こりやすくなるのです。
本来25~50歳頃までは火のエネルギーのピッタが高く、エストロゲン(女性ホルモン)の分泌が活発な時期です。しかし、その時期ヴァータが増えすぎてしまうと、肌も乾燥しがちになり、うるおいや丸みといった女性らしさも失われやすくなってしまいます。ヴァータを増やさない5つの知恵で快適で幸福な更年期を迎えましょう。
ヴァータを増やさない5つの知恵
1、自分と向き合う
更年期のヨガは、自分と向き合うのにおすすめです。ポイントはゆっくりと行なうこと。不調が感じる部分があれば、ごまかさずに、今の自分の現実と向き合いましょう。更年期にともなってヴァータが増えると、体は硬くなります。骨盤の萎縮が始まるので、骨盤底筋膜から坐骨を開くようなアルダ・マツィエンドラーサナやジャーヌ・シルシャーサナがおすすめです。特にヴァータが多い人は、脊柱のまわりが張り、内腿が縮みがちになるので、座位の開脚のポーズや、パシュチモッタナ―サナなどもよいでしょう。
また、ヴァータの増加は、神経系や循環器系の乱れも引き起こします。自律神経系を調整するために、呼吸と動作を合わせ、ポーズを保つ時間を少し長めにして下さい。体の一つひとつの細胞がヨガをしているようなイメージで全身に意識をいきわたらせましょう。
2、静の時間を作る
がやがやした賑やかな場所にいたり、早口でしゃべることは、ヴァータの増加につながります。一日に数分でもいいので目を閉じて自分の内なる音に耳を傾けましょう。ヒーリング系の音楽をかけて、ゆっくりと過ごすだけでもかまいません。更年期の女性にとって瞑想はとても大切です。更年期は尾骨部分、第1チャクラ(エネルギースポット)からエネルギーが上にのぼりやすくなり、ほてりやイライラが引き起こされます。
瞑想は高ぶったエネルギーを鎮めてくれるのです。また更年期は仙骨の部分にある第2チャクラに異変が起きやすい時期でもあります。この異変を放置すると、額部分の第6チャクラが滞り、余計な心配事を考えやすくなってしまいます。仙骨を意識しながら瞑想すると第6チャクラの通りがよくなり、直感やひらめきも出やすくなります。
3、メンタルアーマを溜めない
更年期や閉経に対して、臆病になったり、不安になったりせずに「自分には更年期障害は起きない」っと決め、思い込んでいると楽に過ごすことも出来たりします。自分が自分をどう意識するかは、心や体に大きく影響します。不安感や喪失感はメンタル・アーマを溜めて、さらに心身を悪化させしまいます。体の変化がおきる更年期は、自分の中の変化に気づきやすくなるいいチャンス!!
更年期が過ぎて閉経を迎えることは、女性がなくなったということではありません。男性や女性という意識を超え、ひとりの人間としての人生を送る時期を迎えたのです。もっとも充実した人生を過ごせる〝林住期″にあたります。更年期は新たな人生の扉。前向きに歩んでいきましょう。
4、習慣を身につける
ヨガ、瞑想、食事、起床時間、睡眠時間、何でもいいので、毎日規則的に何かを行ないましょう。不規則な生活はヴァータを増加させます。
生活すべてを規則正しくする必要なありません。「これならできそうだ」というもの1つでもいいので、習慣にしてみて下さい。生活が慌ただしくなってきたら、少し立ち止まってみることも大切です。けっして無理をせず「ゆっくりいこう」と自分自身に声をかけてあげてください。
5、呼吸法で頭をクリアに
一定のリズムで行う呼吸法は、自律神経系を整えて心を落ち着かせてくれます。特に更年期に実践してもいらいたい呼吸法は、ブラーマり呼吸法(蜂音の呼吸法)です。背中を伸ばし楽に座り、目を閉じて自然な呼吸を数回繰り返してください。次に唇を軽く閉じて鼻から息を吸い、吐くときに蜂が飛ぶ音のようなブーンという音(ハミング音のM)を息が続くかぎり、出し続けます。5分ほど繰り返すと頭の中がクリアになり、不安感も和らぐでしょう。